Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 扉を一歩出ると、そこはもう大きなオフィスの入り口だった。

 受付に向かうアプローチの壁面には〈SERIZAWA〉の文字とトレードマークが、プロジェクターで映しだされている。

 受付には、パリコレのモデルと言っても通用しそうな金髪の外国人女性と、ピシッとした黒のパンツスーツの、やはりとびきり美人の日本人女性が坐っていた。

「来栖エリカ様ですね。少々お待ち下さい」
 とりあえず、反社会組織の線は消えて、ほっとした。

 なにしろ芹澤グループと言えば、旧財閥系の、日本有数の大企業だ。

 でも、今度は自分がひどく場違いに思えて、居心地が悪くなった。

 わたしの今の服装、プチプラ・ブランドの小花柄のブラウスとデニムのマキシ・スカートだもん。

 浮きまくるって、ここじゃあ。

 もう、面接って聞いてたら、せめてスーツぐらいは着てきたのに。

 でも、本当に、なんでこんなところに呼びだされたんだろう???
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