Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
一般家庭の子と大富豪の御曹司。
子供のころ、両方の立場を経験した彼は、人というものが信用できなくなった、と言った。
「大金持ちの息子になって、痩せて可愛らしくなったら、ぼくをばかにしていた人たちが、手のひらを反すようにちやほやしだしたんだよ。ぼくの中身は何ひとつ変わってなかったのにね」
さらに、〝麗しの美少年〟から〝水も滴る美青年〟に成長した彼の周りには、花に群がる蝶のごとく女性たちが次から次へと寄ってくるようになった。
「でも、彼女たちが欲しいのは芹澤家の妻の座で、自分を愛してないんじゃないかって、いつも不信感が拭い去れずにいたんだ」
彼はわたしの手の甲を優しく撫でながら、話を続けた。
「だから、政略結婚の話が出たとき、何が何でもぼくの全てを好きになってくれる女性と結婚したいと思ったんだ」
そして……
そのころちょうど、芹澤さんはわたしがチョイ役で出ていた映画を観たそうだ。
彼は一目で、それが初恋相手の〝イチゴちゃん〟だと見抜いた。
「それできみを思い出して。そしてピンときたんだ。イチゴちゃんなら、きっと、ぼくの外見だけじゃなくて、内面もちゃんと見てくれるんじゃないかなって」
だから、と芹澤さんは少し前屈みになった。
「最初に幼なじみの〝中田宗太〟って名乗ってしまったら、エリカがぼくのことを本当に好きなのか、それとも財産目当てなのか判断できないと思って、隠したんだよ」
子供のころ、両方の立場を経験した彼は、人というものが信用できなくなった、と言った。
「大金持ちの息子になって、痩せて可愛らしくなったら、ぼくをばかにしていた人たちが、手のひらを反すようにちやほやしだしたんだよ。ぼくの中身は何ひとつ変わってなかったのにね」
さらに、〝麗しの美少年〟から〝水も滴る美青年〟に成長した彼の周りには、花に群がる蝶のごとく女性たちが次から次へと寄ってくるようになった。
「でも、彼女たちが欲しいのは芹澤家の妻の座で、自分を愛してないんじゃないかって、いつも不信感が拭い去れずにいたんだ」
彼はわたしの手の甲を優しく撫でながら、話を続けた。
「だから、政略結婚の話が出たとき、何が何でもぼくの全てを好きになってくれる女性と結婚したいと思ったんだ」
そして……
そのころちょうど、芹澤さんはわたしがチョイ役で出ていた映画を観たそうだ。
彼は一目で、それが初恋相手の〝イチゴちゃん〟だと見抜いた。
「それできみを思い出して。そしてピンときたんだ。イチゴちゃんなら、きっと、ぼくの外見だけじゃなくて、内面もちゃんと見てくれるんじゃないかなって」
だから、と芹澤さんは少し前屈みになった。
「最初に幼なじみの〝中田宗太〟って名乗ってしまったら、エリカがぼくのことを本当に好きなのか、それとも財産目当てなのか判断できないと思って、隠したんだよ」