Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 依頼を引き受けると決めた夜、彼は言っていた。
 祖父や叔父のやり方を越えていきたいと。
 きっとそれは、想像もつかないほど困難なことなんだろう。
 こんなにも自分の味方を欲するほどに。

 わたしがその助けになれるのだとしたら。
 あのとき、子供だった彼と一緒に逆上がりを克服したように、彼の前に立ちはだかる障害をひとつひとつ、一緒に乗り越えていけるのなら……

 うん。
 やってみたい、それなら。

「わかりました。そこまでおっしゃってくださるなら、わたしも覚悟を決めて、宗太さんと一緒に歩んでいきたいです」

「それでこそ、ぼくのエリカだ」
 彼の手は愛おしげにわたしの髪を撫でる。

「エリカ……きみが好きでたまらないよ」
 あたたかい手の感触を味わっているうちに、こわばっていた心が蕩けていった。

 そう、この先、何があっても怖くない。
 この人と一緒なら。
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