Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 髪を撫で続けていた宗太さんの手が、頬に降りてきた。
 そのまま指を這わせ、わたしの顎をすくう。
 上を向くと、発火寸前の彼の視線がわたしを貫いた。

「……きみが欲しい」
 わたしも。
 今すぐ、彼を感じたい。
 彼のすべてを受け入れたい。

 胸に宿った激情に追い立てられるように目を閉じ、彼の唇を求めた。

***

 縺《もつ》れ合うように口づけを交わしながら、宗太さんのベッドルームに向かった。

 ブラインドからわずかに漏れでた光が、今はまだ朝だということを告げている。

 でも、そんなことは少しも気にならなかった。

 息がつまるほど強く抱きしめられ、口づけを繰り返されるたび、彼への狂おしいほどの想いが募って、外からも内からも火で炙られているように熱くなっていく。 

 ベッドに押し倒されて、唇が首筋を這い、手が太腿を逆撫でたとき、ふと我にかえった。

「シ、シャワー浴びないと……」
「いいよ。このままで」
 かすれた声で、そんなことを言う。
「だ、だめです」

 なんとか彼の手をすり抜け、部屋の脇にあるシャワールームに飛びこんだ。

 お湯の勢いを強くして、頭から浴びる。
 少しだけ、興奮を冷ましたかった。
 そうしないと、脳がオーバーヒートして焼き切れてしまいそうだった。
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