Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 そのほとばしるシャワーの音に紛れて、彼が入ってきたことに気づかなかった。

「宗太さん……」
 彼はわたしを背後から抱きしめてきた。
「ごめん……、もう待てない……」

 そう言って、ボディシャンプーを手に取ると、わたしの身体に泡をまとわせ、性急に弄った。

 わたしも堪えきれなくなり、振りかえって唇を合わせた。

 互いに、今まで抑えつけていた気持ちのたがが外れ、ブレーキの壊れた車のように、何度も何度も唇を求めあった。

 砂地に水を撒くようで、この乾きは永遠に癒えないのではないかと思った。

 彼が愛しすぎて……どうにかなってしまいそうで……

 とめどなく溢れでる想いに
 ふたりで溺れた……

***

 疲れ果てて少し眠っては、また求め合い……
 ようやく、ふたりのなかの嵐が過ぎ去ったのは、もう、日が沈みかけるころだった。

 青くライティングされたジェットバスに浸かり、くたびれはてた身体を勢いよく噴射される気泡に浸した。

 背後の彼に身を預けたまま、話に耳を傾ける。
「最近、帰りが遅かったのは、エリカと同じ理由。ヘリでフライトした日から、きみへの想いが募りすぎて、一緒にいるのが辛かったんだ。湊の家に泊めてもらったこともあったな」

「宗太さんも?」
「うん。素面だと悶々として眠れなかった。白状すれば、エリカの部屋に行きかけたこともある」

 彼の言葉のひとつひとつが心に染みわたっていく。

 これ以上ないほど、心が満ち足りていく。
 その気持ちを伝えたくて、彼に顔を向ける。

 目が合うと、宗太さんは蕩けそうな笑みを浮かべ、わたしに軽く口づけた。
< 110 / 153 >

この作品をシェア

pagetop