Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「飛行機だ」
 彼が指さしたほうを見ると、茜色の空を滑るようにジェット機が飛んでいた。

「新婚旅行はどこに行きたい?」
 片手でわたしの胸のあたりを弄り、もう一方で次々と生まれる気泡と戯れている芹澤さんが耳元で言った。

「うーん、思いつかないです。すぐには」
「なんなら世界一周でもいいよ。プライベート・ジェットなら快適だし」

 ……まるで箱根にでも行こうかという気楽さで言う。

 この感覚についていくには、相当時間がかかりそう。
 慣れてしまうのも怖い気がするけれど。

「でもその前に、まず、母に報告にいかないとね」
「そうですよね。まず、お母様に認めていただかなければ」

 彼はわたしの髪を撫でながら
「心配いらないよ。母には事情を話してあるし。それに子供のころ、会ったことがあるはずだよ」

「それはそうですけど。やっぱり、改めて結婚の承諾を頂くのだから、緊張はします」
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