Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 そのとき、彼のお腹が盛大に鳴った。

「そういえば、腹減ったな」
 朝食はお茶漬けだけだったし、昼は抜いてしまったので、空腹なのはあたりまえだった。
 風呂から上がり、お寿司を取って食べた。

 夜は芹澤さんの部屋で休んだ。
 さすがにふたりとも疲れていたので、ただ横で眠っただけ。

 でも、彼の匂いに包まれて眠る時間は極上で、ずっと起きていたいと思ったぐらいだけど、あまりにも心地良くて、すぐに意識が遠のいた。

 夢は見なかった。
 現実のほうが夢よりもずっと勝っていたからかもしれない。
 
***

 「いってらっしゃい」
 翌日、いつものように芹澤さんを玄関で見送る。

 でも昨日までと違うことがひとつ。

 それは〝いってらっしゃいのキス〟を交わすようになったことだった。
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