Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
***

「どう?」
 別室にいた宗太さんが、試着室のドアをノックした。

「どうぞ、お入りください。とてもお似合いですよ」
「もう、待ちきれなくて、うわ……」

 彼はわたしを上から下までじっくり眺めてから、満足そうにうなずいた。
「もう、恥ずかしいから、そんなにじろじろ見ないでください」
「世界一綺麗だよ、エリカ……本当に」

 メゾンの女性が、微笑んでいる。
 愛情表現がストレートなのはとっても嬉しいのだけれど、他の人がいるときはもう少し控えめにしてくれたほうが……でも贅沢すぎる悩みかな、それは。

「このまま外に出て見せびらかしたいな。彼女がぼくの恋人だ。羨ましいだろって」

「本当。わたしも羨ましいですよ。あまりにもお幸せそうで」

 宗太さんはまったく悪びれず「ええ。その幸せな花嫁のための、とびっきりのウェディング・ドレスのことで相談に乗っていただきたいんですが」と答えた。
「まあ、ありがとうございます。では、あちらの部屋に参りましょうか」

 打ち合わせを終え、車に乗り込むとすぐ、彼は腰を浮かせて、わたしにキスをした。

「さっきからずっと、こうしたくてたまらなかったよ……」
「宗太さん……」

 もう一度、唇が重なる。
 そうして、しばらくの間、わたしたちは、その場で口づけを交わし合っていた。
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