Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 午後5時すぎ、パーティーははじまった。

 立食形式とはいえ食事は豪勢で、会場脇に設けられたブースでは一流のシェフや板前さんがその場で料理を提供していた。

 ドレスコードはセミ・フォーマル。
 若い女性たちはそれぞれ華やかなドレスを身にまとっており、会場に彩りを添えている。

 そのとき、わたしはホテルの部屋で会場のライブ映像を見ていた。

 会場に来られない社員のために用意されたもので、湊さんからパスワードを教わっていた。

 開会の挨拶のあと、静養中の芹澤会長のビデオメッセージが流された。

 確かに、あのとき広場で会った御老人だ。

 来賓の挨拶が終わりそうになったとき、部屋のドアがノックされた。
「そろそろ会場のほうへ」

 迎えに来てくれたのは湊さん。
 今日は彼もフォーマルな黒の上下に身を包んでいる。
 迫力、3割増し。
 でも、彼がいてくれると、なんだか安心感がある。

「いつでも大丈夫です」

 バスルームのそばの姿見の前に立ち、最終チェックをして、ホテルの部屋をあとにした。
< 126 / 153 >

この作品をシェア

pagetop