Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 湊さんが演壇の脇で拍手した。
 それが呼び水となり、徐々に拍手の音が会場に広がっていった。

 目をそらしてはいけない。
 堂々としていなければ。
 大国の女王になった気持ちで、会場の人々を睥睨《へいげい》した。

「壱子はわたくしの幼馴染です。お恥ずかしいのですが、実はわたしの初恋相手でもありまして……」

「おい、どういうことだ」
 宗太さんが話しはじめたとき、大きな声が遮った。

 壇上に上がってきたのは、恰幅のいい中年男性。
 宗太さんの叔父、芹澤政喜氏だった。

「そんな話、訊いていないぞ」

「〝結婚は両性の合意のみに基づいて成立するもの〟ですから。叔父さんの許可は必要ないと思いますが」

 宗太さんはまるで動じずに、そう言い放った。
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