Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 彼はわたしをまっすぐ見つめて、言った。
「すまなかったね。エリカと一緒になりたい気持ちにこれっぽっちの嘘もないけど、でも、結果的には会社のために関係のないエリカを巻き込む形になって……」

 わたしは立ち上がり、彼の唇に人差し指を当てた。
「関係ないなんて、そんなこと言わないで」
 背伸びして、彼の頬に口づけ、言った。

「宗太さんのためになることなら、わたし、どんなことだってします」

 次の瞬間、わたしは宗太さんの腕のなかにいた。
 骨が軋むほど、抱きしめられていた。 

「わかった。もう言わない」
 彼は腕の力を緩め、わたしの目を見つめると、吐息を漏らすように囁いた。

「愛してる。ずっと一緒だよ」
「わたしもです。愛してます。宗太さん」

 その夜。
 すでにふたりの部屋になっていた宗太さんのベッドルームで、夜が更けるまで、飽くことを知らずに愛を確かめあった。

 彼の視線、彼の吐息、彼の指使い……

 すべてがわたしを陶酔させた。

 この夜が永遠に続いてほしい。

 彼と睦み合いながら、わたしは心のどこかで、そう祈りつづけていた。
< 132 / 153 >

この作品をシェア

pagetop