Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 そのとき、テーブルの上のスマホが鳴りだした。

 スポットライトを浴びたように、そこだけ明るくなった。

『もしもし、エリカ? 大丈夫か! 母さんからさっき電話をもらって』
 スピーカーを通して聞こえる、愛しい宗太さんの声。

 膝から力がぬけ、その場にくずおれそうになる。
 泣き言を言いそうになるのを必死でこらえた。

『宗太さんが帰ってから、もう一度話し合いの場を設けることになりました。お母様がお取りなしくださったので』
『出張を切り上げて、すぐ戻るよ』

 もちろん、今ここに彼が居てくれれば、どんなに心強いか.……。

 でも、わたしの口から出たのは逆の言葉だった。
『いけません。わたしは大丈夫ですから、お仕事はきちんとなさってください。でないと、叔父様に言い訳が立ちません』

 それでも、今すぐ飛行機のチケットを予約すると言い続ける宗太さんをなんとかなだめて、電話を切った。
 
 彼の声を聞き、ようやく頭が回りだした。

 宗太さんはきっと、結婚を反対されれば家を捨てると言い出す。

 でも、そんなこと、絶対にさせられない。
 わたしのせいで、彼から仕事を奪うなんて。
 あんなにやりがいを感じている仕事を、そして将来を棒に振らせるなんて。
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