Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 彼の部屋を出て3日経った。

 昼過ぎから、何度も何度も宗太さんからの着信があった。

 無事、帰ってきたんだ。良かった……
 でも、わたしは1度も応答せずに電源を切った。

 声を聞いてしまえば、せっかくの決心が無駄になる。

 訪ねてきたらどうしようと心配したけれど、それはなかった。

 きっと……
 宗太さんも冷静になって気づいたのだろう。
 わたしたちが一緒になれるはずがないと。

 本当は、声が聞きたかったし、一目だけだも会いたかった。
 叫びだしたくなるほど辛かった。

 でも、時間が過ぎていくうちに少しずつ心の痛みは鈍くなっていった。

 いや、心の痛みだけでない。
 すべてのことに対して鈍くなった。

 何を食べてもおいしくない。
 お笑い番組を見てもまったく面白くない。
 悲しいニュースを聞いても同情心が沸いてこない。

 心が自動的に麻痺したようだった。

 決定的に壊れてしまわないように、ストッパーが働いたのかもしれない。
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