Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 芹澤さんはもちろん、ビレッジ内の超高級レジデンスの住人だ。
 オフィス棟からレジデンス棟までは、渡り廊下でつながっていた。

「最初から自宅に来てもらえば良かったんだけど、初対面の女性をいきなり部屋に呼びつけるのは失礼だと思ったもので」

「そうですか。お気づかいありがとうございます」

 金で雇おうとしている人間にもそんな気づかいをしてくれるなんて。
 さすが、生まれながらのセレブリティ。
 むやみにいばり散らす成金とは違う。

「会社だと、耳に入れたくない人に話が伝わってしまうことがあるんですよ。その点、自宅は安心なので」

 通路の横幅は、ふたりで並んでも充分な広さがあった。
 けれど横並びは気が引けたので、彼の後ろをついて歩いていった。

 外は良く晴れていて、通路にさんさんと光が降りそそいでいる。

 
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