Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「わあ、光の反射が綺麗。光の雨を浴びているみたい」
 その様子があまりにも美しくて、はしゃいだ声を上げてしまった。

 あっ、子どもっぽいって思われるかな。
 でも芹澤さんは振りかえってわたしに向かって頷いた。

「うん。この通路、いいでしょう」
 それから天井に目を向けた。

「雨の日もなかなか楽しいですよ。ガラスに水滴が流れおちて、水族館の魚になったような気分になれて」
「うわー、それも素敵でしょうね」

 その話を聞いて、意外に思った。
 通路を歩きながら天候を楽しむなんて、この人、ずいぶん繊細な一面があるんだ、と。

 自分と大企業の副社長との間に共通点はないだろうと思っていた。

 でも、ほんの少しだけ距離が縮まったような気がして、実はちょっと嬉しかったりした。
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