Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「実はこれから夜の便で上海に出張で。とにかく今回の依頼のこと、手短に説明させてもらいますね」

「はい。ぜひお願いします。もう、さっきから頭のなかが〝はてなマーク〟でいっぱいで、今にも爆発しそうなんで」

 わたしの困惑する様子が面白いのか、彼はふっと相好を崩す。

 唇から白い歯がこぼれた。  
 歯並びもパーフェクト。
 なんて爽やかな笑顔。
 この笑顔なら、雑誌の表紙モデルだって、充分こなせる。

「実は今、縁談が持ちあがっていて。相手はさる政治家のお嬢さん。彼女が来年大学を卒業するので、それを待って結婚という話になっているんです」

 いわゆる政略結婚ですね、と芹澤さんは付け加えた。

「ただ、その政治家にはいろいろ黒い噂があって、そんな人物と姻戚関係になるのは会社のためにならないからと断ったんですが、芹澤ホールディングスCEOの叔父が首を縦にふってくれなくて」

 現在、芹澤グループの1社が政府関連事業をライバル社と競っているところで、落札のためには件《くだん》の政治家の口利きが有効らしい。

 そのため彼の叔父である芹澤政喜CEOはこの結婚を押し進めようとしていた。

 彼は一旦話を切って、じっとわたしの顔を見つめた。

 至近距離だと、二重まぶたや鼻筋のラインの造形の美しさに目を奪われる。
 この美貌、いくら見続けても見飽きることなさそう。
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