Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「今までのところは理解してもらえましたか?」
「はい。でも、それとわたしの役割はどういう関係にあるんでしょうか」

 芹澤さんはミネラルウォーターを1口飲み、話を続けた。
「今から2カ月ほど先の5月25日にうちのグループの創業記念パーティーがあるんですよ。その席であなたをぼくの婚約者だと発表させてもらいたいんです。公になる前にその縁談をぶち壊すために」

「えっ?」

 マジですか?
 マジで言ってます?
「む、無理ですよ、そんなの。失礼ですけど本気でおっしゃってます? そんな大役、わたしに務まる訳ないです」

「もちろん、今すぐに、と言うわけじゃなくて。時間をかけてとびっきりの淑女《レディ》になってほしいという話です。だからパーティーまでの間、ここに住んでもらって、ぼくがお呼びする先生にマナーを教わって、身につけてもらえれば」

 そんな、2カ月ちょっとで〝とびっきりの淑女〟なんて、そんなの不可能だよー。

「お話はわかりましたけれど、それはあまりに荷が重すぎます。なにしろ、わたし、開店休業中の売れないタレントですから。とても無理です」

 芹澤さんは微笑みを崩さず、瞳を輝かさせて、断言した。
「いや、できる。あなたなら」
 なんでそんな自信たっぷり?
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