Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「その根拠は?」
「信頼のおける占星術の先生が探りあてた人だからですよ、あなたは。北の方角にいるイニシャルがE・Kの女性を恋人役に選べば、成功すると言われて。それで調べさせたら、ここから真北の方角にあなたの事務所があって、タレント名鑑を見たら……」

 この人のくせなんだろうか。
 また、人の顔をじっと見つめてくる。

 おおかた、その政治家のお嬢さんも、彼の容姿に参ってしまい、父親に結婚をねだったってところだろう。

 この瞳で見つめられて普通でいられる女性は、そういないと思う。

「そうしたら、ちゃんといた。来栖エリカ。E・Kでしょう。あなたのイニシャル」

「はあ、占い……で」
 それが、選ばれた理由?
 それだけで?
 はーと、大きなため息を漏らしてしまった。
 やっぱり、大富豪の御曹司の思考回路なんて、庶民で凡人のわたしにはさっぱり理解できない。

「でも、それなら、そんな偽装なんかしないで、本物の彼女を占いで探してもらって、そのパーティーに連れていけばいいのでは?」

 彼はかぶりを振った。
「いえ、パートナーは自分の手で見つけたいんです。一生の問題なのでね。もちろん、今までに付き合った人はいたけれど、生涯を共にしたいほどの相手とは、残念ながらまだ出会っていなくて。だから、どうしてもこの縁談は破談にしたいんですよ」
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