Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 こんな好条件のイケメン、世の女性が放っておくはずがない。

 その気になれば、今日、明日中にでも日本中の妙齢の女性たちが群れを成しそうだけど。

 わざわざ、こんな面倒な偽装工作をしてまで、自分でパートナーを見つけたいなんて、この人、ものすごく理想が高いのかな。

 それとも、心に決めた人がいるけど、何か理由があって結婚が難しいとか。

 うん。そっちのほうがありえるかも。
 
「じゃあ、今からでも、ご自身で本物の伴侶を見つければいいのでは……」
 わたしは、なんとか彼に依頼を取り下げてもらおうと食い下がった。

「そう簡単にはいかないから、あなたにお願いしているんです」

 うーん。
「でも、そのパーティーの後はどうするんですか? 婚約者がいなくなってしまうじゃないですか」

「その対策はもちろん考えてますよ。でも、それは今回の仕事とはまた別の話だから」

 さも、あなたとは関係ないと言いたそうな口ぶりだ。
 それはまあ、その通りですけど。

 芹澤さんは腕時計に目をやった。
「ああ、もうそろそろいかなきゃ。あとギャラのことですが、うまく行ったら、成功報酬として、あと同額程度、お支払いします。どうです? こんな条件の仕事はめったにないと思いますが」

 いや、めったにどころか、一生に一度でもあることが不思議なぐらいだ。

「2日後の月曜に東京に戻るので、そのときまでに返事をもらえますか。あっ、それからこのことは他言無用で。事務所にもくわしい話はしないでもらえるとありがたい。叔父にバレたら計画が水の泡なのでね」

「はい……分かりました」
 ど、どうしよう。
 どうすればいい?
< 22 / 153 >

この作品をシェア

pagetop