Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 彼はまず、これから2カ月あまり、わたしが過ごすことになるゲスト・ルームに案内してくれた。

 そこは、日差しが眩しい、居心地満点のベッドルーム。

 芹澤さんはスーツケースをドアのそばに置くと、部屋を突っ切って、ベランダに面した窓に掛かっているレースのカーテンを開け放ってくれた。

「うわー、東京とは思えませんね」
 窓からは、木々の緑しか見えない。
 目線を考慮して植栽されているんだろう。

「狭い部屋だけど、ここが一番、日当たりがいいんだ」
「いえ、狭いなんて、広いです、充分」

 なにせ、わたしが住んでいるワンルームはキッチンやバスルームも合わせて10畳ぐらいだから、この1室とほとんど変わらない。

 振りかえって、部屋を見渡す。
 ベッドと背の低いチェストと書き物用の小さなデスクが置かれている。
 家具はすべて白木。
 フローリングも明るい茶色なので、とてもナチュラルな印象。
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