Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 芹澤さんは話を続けた。
「どのみち、今のような一族経営では、いずれ限界が来る。祖父と叔父のやり方は時代遅れが目立つんだ。これからの時代、セリザワほどの大企業と言えども、過去の栄光に頼っているだけでは、とても生き残っていけないのに」

 すごいな、芹澤さん。
 わたしと1歳しか違わないのに。
 しっかりと将来を見据えている。

 自分は操り人形なんて言ってたけど、こうして会社の未来を憂いている横顔は、まさに重責を担う男の顔だ。

「改めてお願いしたい。頼む。どうしてもきみの協力が必要なんだ。どうか、ぼくのために一肌脱いでくれないか」

 一肌脱いでくれ……か。
 こういう正攻法のお願いに、極端に弱いんだよな、わたしは。
 いつもの人助け体質がひょっこりと顔を出してしまう。

 もしかして……事務所のプロフィールに「来栖エリカは頼まれると嫌とは言えない性格」と書いてあったりして。
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