Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「おはよ……」
 あくびしながら、ダイニングテーブルの椅子にすとんと腰を下ろした。

「ぼく、朝が弱くてさ……」
 そう言って、もう一度、絵に描いたような大あくび。

 そのままほっておいたら、坐ったまま居眠りしちゃいそう。

 髪の毛ボサボサで、後ろ髪がはねてるし。

 あのー、芹澤さん、ちょっと可愛いすぎるんですけど。

 ほっとけないと言うか、母性本能をくすぐると言うか……
 もう、ヤバいって。

 いやでも“ギャップ萌え”しちゃう、こんな姿見せられたら。

「あの、ごめんなさい。朝ごはん作るとか提案して。もっと寝ていたかったんじゃないですか?」

「いや……早起きにシフトしたいと思ってたところだったから」

「迷惑じゃないですか?」
「ぜんぜん。そっちこそ大変じゃない? 食事の支度をするのは」
「いえ、とっても楽しいですよ。昨日、スーパーに行ったらもう食材の宝庫で、次は何を作ろうかな、とあれこれメニューが浮かんでます」

「そっか。じゃあ、もう少し早く起きるようにして、ゆっくり味わわないとね」
 そう言って、スムージーを口にした。

「うまいな、これ」
 朝が弱いんだったら、これからなるべく胃に負担をかけないようなものを作ろう。

 それにしても……
 こんな隙だらけの芹澤さんを知っているのは、ご家族と歴代彼女をのぞけば、きっとわたしだけ……

 なんだか、ものすごく役得な気分だった。
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