Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 芹澤さんの家に来て、ちょうど1週間目の水曜日の朝。

「今晩からまた上海に出張なんだ。来週の火曜日に戻るよ」
 コーヒーを飲みながら、芹澤さんが言った。

「今回は、結構長く行かれるんですね」
「うん。でも、これで最後かな。再開発プロジェクトが大詰めでね」

「どんなお仕事をされてるんですか」

「えーと、旧市街の再開発だよ。といっても、古い建物を取り壊さずにリノベーションしてるんだ。上海は歴史的に重要な土地だから、かつての雰囲気を壊さないようにするのは大切なことだと思うんだ。景観は残しつつ、訪れる人たちにはより快適に。そういうコンセプトで進めている事業なんだよ」

 目をキラキラと輝かせて、芹澤さんは熱弁を奮う。

「あっ、ごめん。こんな話、興味ないよね」

「そんなことないです。きっと素敵なところなんだろうなって、ワクワクしながら聞いてました」

 わたしの言葉に嬉しそうに頷いて、彼は話を続けた。

「上海は面白いよ。古さと新しさが混在していて。中国は今、世界で1番勢いのある国だしね。街全体に活気があふれてる」
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