Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 行ってみたいです、という言葉が口から出かかった。

 でも、芹澤さんのことだ。
「じゃあ次の週末にでも行こうか」と軽く言いかねないのでやめておいた。

 それにしても、仕事の話をする芹澤さんは本当にイキイキしている。

 自分の仕事にやりがいを持っていて、意欲的に取り組んでいるのがものすごく伝わってくる。

「でも、出張のあいだ、エリカの美味しい朝食を食べられないのは残念だけどね」

 えっ?
 油断していたら、いきなりそんなことを言われて、思わず、顔が赤らむ。

 お世辞とわかっていても、やっぱり嬉しい。

 それなら素直に喜べばいいんだけど。
 照れ隠しについ、つれない返事をしてしまう。

「上海にはもっと美味しいものがたくさんあるじゃないですか」

「まあね」
 可愛くない奴って思われてるだろうな、きっと。

 彼は「さて」と言って立ち上がった。
「お土産愉しみにしてて」そう言って、出社していった。
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