Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 そっか。芹澤さん、1週間、留守なんだ。
 ということは、明日からしばらく、朝食を作らなくていいってことだ。

 自分で提案したことだったし、料理は好きなので、負担に感じていた訳じゃないけど。

 でも、やっぱり朝寝できるのは嬉しい。
 ここで生活し始めてから、はじめての息抜き。
 そのときはそんなふうに思っていた。

 ところが、翌朝。

 ひとりで食卓についたとき、自分でも驚くほどの物足りなさを感じた。

 わたしの目の前に、眠そうに目をこする芹澤さんがいない。

 そのことがたまらなく寂しかった。

 まだ、一緒に朝食を取るようになって、たった5日だし、毎朝たった30分ほどのことだ。

 でも、わたしにとって、その時間がどれほど心のよりどころになっていたか。

 彼の不在が、はっきりと気づかせた。

 それからの後の4日間は、時間が経つのがとても遅く感じた。

 ようやく帰国の日になっても、その日は朝から心配でたまらなかった。

 もし、飛行機が事故にあったら……
 もう、2度と彼に会えなくなってしまったら……

 そう思うと、居ても立ってもいられなかった。
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