Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 あまりにも豪華なお土産に面食らっているわたしに構わず、芹澤さんは「ねえ、つけてみてよ」と無邪気に急かしてくる。

「じゃあ……」
 肩にかかる髪を片側にまとめ、チョーカーを持つ手を後ろに回した。

 でも何しろ年代物なので留め金の形状が今のものとは違って、なかなか留められない。

「貸してごらん」
 彼はわたしの後ろに回って留めてくれた。
 その手がかすかにわたしの首筋に触れた瞬間……
 ぞくっと心が疼いた。

「思ったとおりだ。よく似合うよ」
 芹澤さんは満足そうにわたしを見つめる。

 その瞳の輝きにつられて、わたしも彼を見つめてしまう。
 一瞬、眼差しが交差する。

 まずい。

 わたしはすぐに目をそらし、ごまかすように「ありがとうございます」と早口で礼を言った。

「今週末にでも、ドレスを作りに行かないとね」

 わたしは戸惑いから立ち直れないまま、上の空で返事をした。
「はい、わかりました。じゃあ、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」

 ドアが閉まり、彼の足音は遠ざかっていった。
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