Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 ひとりになり、そのチョーカーを眺めながら思う。

 もう、降参だ。
 あんな顔で見つめられたら。

 いくら自分をごまかそうとしても無理。
 わたしはもうとっくに、頭の先まですっぽりと、彼の沼にはまっている。

 自分が思うよりずっと、この恋の病は重症のようだ。

 恋する気持ちを抑えこもうなんて、無駄な抵抗だった。

 はじめはただ、芹澤さんの美しすぎる容姿に憧れを抱いただけだった。

 でも、ルームシェアして、彼を知るたびに好きになるポイントがどんどんと増えていった。

 例えば……
 人がうらやむ家柄や美貌の持ち主なのに、それを鼻にかけないし、少しも偉ぶらないところ。

 周囲に認められなくても、ふてくされないで、現状を変えようという気概のあるところ。

 仕事に情熱的に取り組んでいるところ。

 それに、美しいものに素直に感動できる柔らかな感性を持っているところも。

 あと意外に茶目っ気があるし、寝起き姿が可愛すぎるところ、などなど……

 困ったことに、嫌いになる要素がひとつもない。
 彼を想う気持ちは加速度的に大きくなって、とどまるところを知らない。

 ちゃんとわかっている。
 わたしと彼が結ばれることなんて、絶対にありえないということは。

 それは百も承知だ。
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