Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 ただ、わたしに投げかけられる彼のまなざしがときどき、この上もなく甘美で。

 意思に反して、心が勝手に期待してしまう。

 もしかしたら、彼もわたしのことを……

 だけど、そんな自惚れを抱いた後は、反動でよけいに虚しくなる。

 ものすごくお腹が空いているとき、目の前にご馳走が並んでいて、喜んで食べようとしたら、それは全部、食品サンプル。

 今の気持ちを例えれば、そんな感じだ。

 これからパーティーまでの日々、ずっとこの状態が続くのか。

 初日に恐れていたことが、こんなにも早く、現実になってしまった。

 あと、2カ月足らず。
 ひたすら忍耐力を鍛える日々になりそうだ。
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