Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 食後のコーヒーをいただいていると、芹澤さんに「だいぶテーブルマナーが身についてきたみたいだね」とほめられた。

「うわ、その言葉、今、一番嬉しいです!」
「ほら、ぼくが言ったとおりだっただろ? エリカならできるって」

「でも、まだまだですよ。一昨日も神谷先生にしぼられました」

「あの人は厳しいことで有名だから。皇族の方の先生もされたことがあるそうだよ」

「神谷先生に一言でもほめていただくことが、今の目標になっています」
 芹澤さんが目を見張る。
「きみは前向きな努力家だよ、ほんとに。じゃあご褒美ってことで、これからどう? 桜が綺麗なところに行こうか」

「うわぁ、ぜひ」

 今年の2月、3月は記録的な寒さで、桜の開花が例年よりも遅かった。

 温かくなってきた先週、ようやく開花して、今日はまさに見頃だった。

「どこですか? この近くなら千鳥ヶ淵とか?」

「それはついてからのお楽しみということで。そうだ、エリカは高所恐怖症じゃない?」
「いえ、高いところは大好きです。展望台があったら必ず登りますし。なんか子どもっぽいですけど」
「いや、それなら良かった」

 うーん? 高いところでお花見ってどういうことだろう?
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