Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「はい。これ、つけて」
 シートベルトを締めていると、ヘッドセットを渡された。
 芹澤さんのほうに視線を向ける。
 ヘッドセットをつけて、サングラスをかけて、操縦桿を握る彼は、映画の主人公そのもの。
 言葉じゃ表せないほど、カッコいい。
「離陸許可が下りた。さあ、飛ぶよ」

 ヘリはゆっくり地上を離れていく。

 しばらくのあいだ、低い高度でポート内を進み、それからぐんぐん上昇し始めた。

 ヘッドセットをしていても、バラバラというプロペラ音がうるさいほどだ。

 このヘリの正面は足元までガラス張りになっているので、文字通り、東京の街並みが一望できる。

「どう、気分は」
 ヘッドフォンを通して、芹澤さんの声が聞こえてきた。
「すごいです! 鳥になったみたい」

 どんどんと遠ざかってゆく都会の光景。
 レインボー・ブリッジもスカイツリーもぐんぐん小さくなっていく。

「空はいいだろう。ストレスなんて一気に吹っ飛ぶよ」
「ほんとですね。どんどん元気が沸いてくるみたい」
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