Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
「こちらをお持ちになってください。IDカードになりますので」

 車を降り、エレベーターを待つ間、湊さんは透明ケースに入ったカードを渡してくれた。

 3年前に撮った宣材写真のわたしが微笑んでいる。

 何から何まで用意周到。
 いったい何が、わたしを待ち受けているんだろう。

 妖怪じみた金持ちのヨボヨボジジイの世話とか?
 中国かアラブの脂ぎった大富豪の接待とか?

 接待だけならまだしも、どっかに売り飛ばされたりして。

 まさかとは思うけど、実は酒井さんもぐるで、わたしをやっかい払いしようとしてるとか?

 次から次へと浮かぶ疑いで頭がいっぱいになったとき、ようやくエレベーターは停まった。
 湊さんが先に降り、扉に手を添えて待ってくれている。

 あれ、意外と紳士じゃん。
 そっか、秘書だって言ってたっけ。
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