Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 芹澤さんは緩慢な動きで顔を上げ、わたしを見た。

「ごめん……起こしちゃったね。接待で強引に飲まされて……ね」

 だいぶ呂律《ろれつ》があやしい。
 芹澤さん、お酒強くないって言ってたから……
「大丈夫ですよ。まだ起きてましたから」

 彼はグラスをつかみ、ミネラルウォーターを一気に飲み干した。
 そしてまた、テーブルに突っ伏した。

 わたしは彼の肩を軽く揺さぶり、耳元で声をかけた。
「立ってください。ベッドで寝ないと」

 聞こえてはいたようで、芹澤さんはテーブルに手をつき、立ち上がろうとした。

「明日、お休みで良かったですね」
 うん……と、彼は消え入りそうな声で答えた。
 そして、廊下のほうに歩きだしたけれど、どうも足元がおぼつかない。
 すぐに壁に寄りかかってしまう。

 もう、しょうがない。
「ほら、肩につかまってください。部屋まで一緒に行きますから」
「ごめん……」

 よろけそうになる芹澤さんを支えながら、彼の部屋に向かった。
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