Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 彼のベッドルームに入るのははじめてだ。

 わたしが使わせてもらっている明るい北欧調のベッドルームとは違い、大人っぽく落ち着いた印象の内装だった。

 スイッチを入れると、ベッド際のブラケットライトが点灯した。

 濃茶色の壁面に光がこぼれ、美しい模様を描いている。
 大きな窓には天井からベージュ色のバーチカル・ブラインドが下がっている。

「ほら、歩けますか?」
「……ごめん。……ああ、頭がガンガンする」
 ベッドに坐ってもらい、半開だったブラインドを閉め、ジャケットを脱ぐのを手伝った。

「お水入れてきましょうか」
「いや……大丈夫」
「それじゃ、おやすみなさい」

 そのまま出て行こうとしたけれど、ふと見ると、芹澤さんはネクタイを外すのに悪戦苦闘している。

 あまりにも手間取っているので、もう一度彼の前に戻った。

「じっとしていてください」と言って、わたしはネクタイの結び目に手をかけた。

 彼はされるがまま。
 ネクタイが外れると、耐えきれないといった様子で横になり、すぐに寝息を立てはじめた。
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