転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
ひとりで見つけた後に、兄たちに自慢する気でいたのだ。
けれどもエマを攫ったあの夜、彼女を家まで送ろうと夜空を飛んでいる最中にこう言われた。
『必ずご兄弟三人一緒に宝を探してください。それが亡くなられたお父様の望みですので』
(エマちゃんは不思議な人だったな)
一度会っただけでは覚えられない平凡な見た目の侍女だが、ジェラルドを含めた他の者よりも、もっと高い視点でこの世界を見ているような不思議な雰囲気を持っていた。
(まるで全知全能の女神のような……)
そんなエマに三人一緒でと言われたら、従うしかない。
リビングで三十分ほど、ロバートとふたり、気まずい時を過ごしていると、次兄のリチャードが到着した。
会うのは二年ぶりか。
長兄に比べて柔和な面立ちだったリチャードは、今は口髭を生やし、貫禄ある風貌に変わっていた。
婿入り先で、思うように意見できないのだろうか。
髭を生やした理由を考えると、苦労が窺えた。
「ジェラルド、俺を呼び出すとは偉くなったものだな。お前が謎解きしたそうだが、遠路はるばる来てやったんだ。宝は三等分しろよ」
けれどもエマを攫ったあの夜、彼女を家まで送ろうと夜空を飛んでいる最中にこう言われた。
『必ずご兄弟三人一緒に宝を探してください。それが亡くなられたお父様の望みですので』
(エマちゃんは不思議な人だったな)
一度会っただけでは覚えられない平凡な見た目の侍女だが、ジェラルドを含めた他の者よりも、もっと高い視点でこの世界を見ているような不思議な雰囲気を持っていた。
(まるで全知全能の女神のような……)
そんなエマに三人一緒でと言われたら、従うしかない。
リビングで三十分ほど、ロバートとふたり、気まずい時を過ごしていると、次兄のリチャードが到着した。
会うのは二年ぶりか。
長兄に比べて柔和な面立ちだったリチャードは、今は口髭を生やし、貫禄ある風貌に変わっていた。
婿入り先で、思うように意見できないのだろうか。
髭を生やした理由を考えると、苦労が窺えた。
「ジェラルド、俺を呼び出すとは偉くなったものだな。お前が謎解きしたそうだが、遠路はるばる来てやったんだ。宝は三等分しろよ」