転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
(そうだ、幼い頃の俺は、ロバート兄さんも、リチャード兄さんも大好きだった……)

覆布を持つ手が震えだしたら、ハラリとメッセージカードがテーブルに落ちた。

懐かしい父の筆跡のそれには、こう書かれていた。

『謎解きおめでとう。久しぶりに三兄弟で遊んだ感想を聞かせてくれ。お前たちは掛け替えのない兄弟だ。三人の心を合わせ、領民の幸せを守っていってくれ。それがお前たちの幸せでもあるはずだ』

ジェラルドの瞳に涙が溢れた。

「父さんは謎解きを三人でやらせることで、和解させようとしていたんだね。ごめん、俺がひとりでやってしまったよ……」

鼻をすする音が聞こえ、見ると兄たちも泣いていた。

「形見の絵画を売ってしまって、父さんに申し訳ないことをした……」

後悔しているのはロバートで、リチャードが首を横に振る。

「父さんが守れと言ったのは、絵ではなく領民だ。俺は他家に婿入りした身だが、今後はロランス領の統治に力を貸したい。三人でもっと豊かな領地に……」

ロバートとリチャードが手を取り合い、ふたりの視線がジェラルドに向いた。

ハッとしてジェラルドも、兄たちに手を重ねる。

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