転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです（汗）

「苦しそうな顔をしていらしたの。怒りをどうにか制御しようとしているように見えたわ。理由を尋ねたら、『なにも聞くな。君は黙って俺の隣にいるだけでいい』って……。私は信用されていないのよ。きっとそれなりの家柄で年頃の娘なら、妃は誰でもいいんだわ」

レミリアの瞳が潤み、動揺の波がまだ引いていないのが伝わってきた。

エマは慰めることができずにいる。

昨日の由奈との電話を、ハッと思い出していたからだ。

≪赤ちゃんの時にすり替えられたなんてびっくりだよね。ラストはどうなるんだろう。明日はバイトがないからガッツリやり込んで先に進めておくね。あ、そうだ。今の時点でクリストファーは青バラを握り潰していないよね？≫

『うん。そんな展開にはなってない』

≪それなら大丈夫。ヒロインはハッピーエンドに向かってる。青バラを握り潰すというのが破滅エンドのフラグらしいよ。恵麻のお嬢様、幸せになれそうでよかったね≫

エマは青ざめ、全身の血が引いていくような恐怖に襲われた。

（どど、どうしよう。まさかイチャイチャしかないと思っていた今日のティータイムで、そんなフラグが立つなんて……）