転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
「エマ、それ以上は駄目よ」
普段は温厚なモリンズ伯爵にも、貴族らしいプライド高さや厳しさがある。
雇われ人が主人に意見するのは常識外れでもあり、クビにされる理由には十分だ。
エマが辞めさせられることを恐れて、レミリアは止めたのだろう。
「エマは心配なのよね。大丈夫よ。今度は王太子殿下の気分を害さないように気をつけるから」
エマは首を横に振る。
「気をつける程度でかわせる危機じゃないんです。会わないことが最善の防御で――」
「エマ、私を信じて。私がうまく人付き合いできるように特訓してくれたのはエマでしょう。それに私、殿下にお会いしたいのよ。この想いは止められないの」
「あっ!」
レミリアは階段を駆け上がり、支度をしに行ってしまう。
「お待ちください!」
エマはすぐに追いかけようとしたが、怒り顔の伯爵夫妻に腕を掴まれ止められてしまった。
* * *
その頃、帰城したばかりのオズワルドがクリストファーの執務室を訪れていた。
「殿下、ただいま戻りました」
「長旅ご苦労。報告書にまとめてくれ」
「既に書き終えてございます」
普段は温厚なモリンズ伯爵にも、貴族らしいプライド高さや厳しさがある。
雇われ人が主人に意見するのは常識外れでもあり、クビにされる理由には十分だ。
エマが辞めさせられることを恐れて、レミリアは止めたのだろう。
「エマは心配なのよね。大丈夫よ。今度は王太子殿下の気分を害さないように気をつけるから」
エマは首を横に振る。
「気をつける程度でかわせる危機じゃないんです。会わないことが最善の防御で――」
「エマ、私を信じて。私がうまく人付き合いできるように特訓してくれたのはエマでしょう。それに私、殿下にお会いしたいのよ。この想いは止められないの」
「あっ!」
レミリアは階段を駆け上がり、支度をしに行ってしまう。
「お待ちください!」
エマはすぐに追いかけようとしたが、怒り顔の伯爵夫妻に腕を掴まれ止められてしまった。
* * *
その頃、帰城したばかりのオズワルドがクリストファーの執務室を訪れていた。
「殿下、ただいま戻りました」
「長旅ご苦労。報告書にまとめてくれ」
「既に書き終えてございます」