転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

(マリアの話を真実だとしたら、俺の本名はフレッドなのか。しっくりこないな。ん? これは……)

クリストファーはある点に疑問を持ち、家系図を指さしてオズワルドに尋ねた。

「私生児がやけに多いな。それもフレッドと近い年齢の者ばかりだ」

マリアの他、七人ものローズ姓の娘たちが未婚で子を産んでいた。

二年ほどの期間に集中しているのが奇妙である。

オズワルドは眉間に深い皺を刻み、声を落として疑問に答える。

「おそらく――」

先代国王が早くに逝去したため、クリストファーの父である現国王は二十一歳の若さで王位に就いた。

妻を娶ったのも国王となってからだ。

妃の最大の務めは、世継ぎを産むことである。

早く子供をと周囲も妃自身も望むものであり、王家の第一子は代々、輿入れ後二年以内に生まれていた。

だから、現国王の妃の懐妊時期は大まかに推測できた。

それに合わせてローズ家の娘たちは妊娠したのだ。

王太子とローズ家の子をすり替えるという大それた企みのもとで。

その中で最適な時期に男児を出産できたのが、マリアだったというわけだ。

オズワルドは賢い侍従である。

< 208 / 251 >

この作品をシェア

pagetop