転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです（汗）

「レミリア様が大丈夫じゃないんです！　三年お世話したレミリア様に、そんな恐ろしいエンディングを迎えさせられない。なんとかしてあげないと……」

（でも、ひねくれたこのご令嬢をどうしたらいいのか。序盤までしかプレイしてないから、この先の選択肢の誘導もしてあげられない。ああ、ここにゲーム機があったなら……）

気が触れたと思われたのか、レミリアをさらに心配そうな顔にさせてしまったが、そのことに気づいてもあげられないほどエマは焦っていた。

シンシアは三問目を出そうとして、顔の周りを飛んでじゃれつくポッピィちゃんに邪魔されている。

美女にしか懐かないはずのポッピィちゃんはシンシアの側を離れると、短い四肢を一生懸命に動かし、なぜかエマに向けて飛んできた。

（私にはいつも塩対応のポッピィちゃんが懐いてくれるのは嬉しいけど、今はそれどころじゃないの！）

エマはフワフワの綿犬の毛を、片手で押しのけようとする。

けれどもその手をかいくぐって接近したポッピィちゃんに、湿った鼻先を耳に押しつけられた。

「冴えない侍女よ。今すぐ我輩を裏庭に連れていけ」