転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
(えっ……。ポッピィちゃんが、人間の言葉を話してる!?)
しかも愛らしい見た目と不釣り合いな渋い声。
「我輩がしゃべる綿犬であることは秘密だ。誰かに話せば噛み殺すぞ。騒がず、さっさと動かんか」
小声で脅されたエマは、綿犬を胸に抱くと、冷や汗を流しながらドアへ向かう。
その背にレミリアの声がかけられた。
「エマ、どこへ行くの?」
「ええと、外の空気を吸ってまいります……」
花壇や噴水が美しい前庭とは違い、裏庭に眺めたくなるものはない。
木が数本とシーツが風に揺れる物干し場、物置小屋があるだけだ。
周囲に人の気配はなかった。
綿犬に命じられるがままに歩いたエマは、太い樫の木に隠れるようにして立ち止まる。
「あの、ポッピィちゃん」と呼びかけたら、フワフワと浮かんで、くるりと振り向いた綿犬に、愛らしい顔で睨まれた。
「ポッピィちゃんではない。我輩の正しき名は、スモフキン・モッフンベル・ユーモフ・モフベルト・ポメラニアンだ。ふたりの時にはそう呼ぶがいい」
「モフモフと長いお名前ですね……。覚えられそうにないので、スモフキンさんでよろしいでしょうか?」
しかも愛らしい見た目と不釣り合いな渋い声。
「我輩がしゃべる綿犬であることは秘密だ。誰かに話せば噛み殺すぞ。騒がず、さっさと動かんか」
小声で脅されたエマは、綿犬を胸に抱くと、冷や汗を流しながらドアへ向かう。
その背にレミリアの声がかけられた。
「エマ、どこへ行くの?」
「ええと、外の空気を吸ってまいります……」
花壇や噴水が美しい前庭とは違い、裏庭に眺めたくなるものはない。
木が数本とシーツが風に揺れる物干し場、物置小屋があるだけだ。
周囲に人の気配はなかった。
綿犬に命じられるがままに歩いたエマは、太い樫の木に隠れるようにして立ち止まる。
「あの、ポッピィちゃん」と呼びかけたら、フワフワと浮かんで、くるりと振り向いた綿犬に、愛らしい顔で睨まれた。
「ポッピィちゃんではない。我輩の正しき名は、スモフキン・モッフンベル・ユーモフ・モフベルト・ポメラニアンだ。ふたりの時にはそう呼ぶがいい」
「モフモフと長いお名前ですね……。覚えられそうにないので、スモフキンさんでよろしいでしょうか?」