転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
「由奈、大丈夫? なにか悲しいことがあったの?」

≪悲しいに決まっているじゃない。恵麻が死んで一年経っても、喪失感が消えないよ≫

(一年……?)

エマはこの世界に生を受けて、十八年目である。

どうやら前世とは、時の流れが違うようだ。

色々と質問すると、由奈は今、大学二年生で、勉強にアルバイト、サークル活動と充実した毎日を過ごしているらしい。

けれども自宅に帰れば、どうしても姉の死に心が苛まれる。

それで夢の中でもいいから話がしたいと毎日願った結果、睡眠中の意識の中にスマホが現れたのだという。

(由奈の夢と、私の現実が繋がっているなんて不思議……)

今日はすでに何度も驚いているためか、この状況をすんなりと受け止められた。

由奈の涙を止めたくて、エマは優しく励ます。

「なんの取り柄もなくて、由奈の足を引っ張るだけだったのに、私を恋しがってくれてありがとう。もう泣かなくていいんだよ。私はこっちでそこそこ幸せに暮らしているから。今までありがとう。由奈は優しいね。由奈には笑って生きてほしいな」

すると泣き止むどころか、電話口で泣き叫ばれる。

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