転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
エマがリビングに入れば、モリンズ伯爵夫妻と双子令嬢が、窓際の丸テーブルを囲んで紅茶を飲んでいる。

そばには給仕のメイドが控えており、お茶菓子はもちろんレミリアの焼き立てパイだ。

綺麗な焼き色がついて、断面も生焼けではなく、どうやらパイ作りの課題は合格点をもらえたようだ。

「失礼いたします。レミリア様とシンシア様に晩餐の招待状が届きました。バルニエ伯爵からですよ!」

モリンズ伯爵夫妻は、なぜと言いたげに目を瞬かせている。

園遊会でレミリアとバルニエ伯爵が知り合ったのだと、エマは嬉々として教えた。

ただし覗き見していたことや裏での画策は話せないので、触りだけの説明である。

その間にシンシアは開封して、手紙を読んでいた。

「ブライアン様もご招待されるのね。ああ、よかったわ。私だけ行くわけにいかないもの」

ホッとしたように頬を綻ばせたシンシアと違い、レミリアは開封さえする気がないようだ。

「あの時、結局お断りできないまま帰られてしまったのよね。欠席のお返事を書かなくちゃ……」

(え? シンシア様が一緒でもダメなの?)

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