転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
シンシアがピンク、レミリアが水色のイブニングドレスで並んでいる。

ブライアンはシンシアの向かいにいる。

十九歳の彼は公爵家の嫡男として英才教育を受けているので、知性や気品が所作のひとつひとつに表れている。

丸顔で少々肉付きがよいが、顔立ちは整っており、美男子といえよう。

その隣、レミリアの向かいの席がバルニエ伯爵だ。

襟のジャボに留められているブローチは、ピジョンブラッドと呼ばれる最高級のルビー。

それが仕立てのよい茶系のジャケットと合っていて素敵だ。

ただ食事をしているだけでも、ブライアンにはない大人の色気が滲み出ているような気がした。

ブライアンとバルニエ伯爵が先ほどから話しているのは、貿易の話だ。

「というわけでして、東洋産の絹糸が値上がりを続けています。我がモンタギュー家の領地では織物が盛んなので、非常に悩ましい問題です。バルニエ伯爵、なにか解決法はないものでしょうか?」

「今は陸路での輸送ですか? 海路に変更してはどうでしょう。近年では海賊も減り、リスクが減りました。輸送費も抑えられるはずですよ」

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