君と海で星を見よう
私の荒れように焦る先輩になだめられ電話を切り、行き慣れたクラブへと足を進める。
クラブと聞けば怖くて治安の悪いイメージがあり、中学の先輩であるゆうなに初めて誘われた時は気が進まなかった。
でもここは愛媛のド田舎。都会のクラブみたいに広いわけでも、セキュリティが万全な訳でもない。
商店街の入り組んだ道を進んで、出勤前のキャバ嬢やホストの横を通り抜けた先にある小さなビルの8階。古びたエレベーターで上に上がるにつれて地響きの様に伝わる大音量の音楽。
「あれ、ゆまやーん。お疲れ、今日は1人?」
「のんさんお疲れ!ゆうな先輩来とる?」
「おー来とるよ!」
「ありがと!ライブ終わったら一緒に飲も!」
初めて来た時から良くしてくれるラッパーののんさんと少し話して、騒がしい音楽が流れる会場に入った。
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