平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
「カルロはまだ、あまり歩いていないんでしょう? 敷地内を散策してきていいわよ」
リズは、結局のところ小言も続けずに、柔らかな苦笑を浮かべてそうカルロに提案する。
一週間前まで、立派に相棒獣になるまで面倒をみてきた。
もう彼には首輪や、散歩紐だっていらない。今は、相棒騎士となったジェドを乗せれば、空を駆けて飛んで行ける。
それが、リズはとても嬉しい。そんな自由なカルロを思っていると、彼が昨日と同じく、ぶんぶんと頭を横に振ってきた。
「散策、してこないの? 団長様にも、特別に許可されているのに」
不思議に思って確認してみれば、カルロはリズよりも高い位置にある頭を下げて、ぐいーっと大きなもふもふとした白い頭をこすり付けてくる。
さっさと行く。そう肩辺りを押されている気がした。
「ついてくるのはいいけど、幼獣たちをびっくりさせたらだめよ」
「ふんっ」
何やら、カルロが言いたげな顰め面を近づけてくる。
リズは一度足を止めた。すると彼が、あまり他の人前ではしない筆談で、爪を一本立てて土の上にガリガリと文字を刻んだ。
【子ら、びっくりしてない。勝手に背中に乗ってくるの、困る】
「カルロ、大人気よねぇ」
多分、これまでにないほどに大きな白獣だから、彼らはそれだけで面白いのかもしれない。いつも好奇心たっぷりな大きな瞳を、きらきらとさせてカルロの周りで大騒ぎしてりするのだ。
――白獣特有の、美しい紫色の目。
リズは、視線の高さを合わせて、じーっと自分を見ているカルロを見つめ返していた。その色合いに近い、彼女の赤紫色(グレープガーネット)の瞳に獣が映っている。
「あの子たちも、いずれはカルロみたいにおっきくなるのかしら。いくつかの成長段階ごとに、身体のサイズが変わっていくって本当?」
【多分】
「首を捻られても……あっ」
大きな前足で文字を消したカルロが、仏頂面をずいっと寄せてリズが抱えているかごをくわえ持った。
「私、自分で持てるわよ?」
リズは、ひとまず『返して』と仕草でも伝えてみた。しかしカルロは渡さないという反応をすると、続いて撫でろと頭を寄越してくる。
最近、こうやって唐突なタイミングで撫でられたがるのも増えた。
少し前まで、ブラッシングだって嫌がっていたから大きな変化だ。……まぁ、リズとしては、もふもふを堪能できるのでいいのだけれど。
リズは、結局のところ小言も続けずに、柔らかな苦笑を浮かべてそうカルロに提案する。
一週間前まで、立派に相棒獣になるまで面倒をみてきた。
もう彼には首輪や、散歩紐だっていらない。今は、相棒騎士となったジェドを乗せれば、空を駆けて飛んで行ける。
それが、リズはとても嬉しい。そんな自由なカルロを思っていると、彼が昨日と同じく、ぶんぶんと頭を横に振ってきた。
「散策、してこないの? 団長様にも、特別に許可されているのに」
不思議に思って確認してみれば、カルロはリズよりも高い位置にある頭を下げて、ぐいーっと大きなもふもふとした白い頭をこすり付けてくる。
さっさと行く。そう肩辺りを押されている気がした。
「ついてくるのはいいけど、幼獣たちをびっくりさせたらだめよ」
「ふんっ」
何やら、カルロが言いたげな顰め面を近づけてくる。
リズは一度足を止めた。すると彼が、あまり他の人前ではしない筆談で、爪を一本立てて土の上にガリガリと文字を刻んだ。
【子ら、びっくりしてない。勝手に背中に乗ってくるの、困る】
「カルロ、大人気よねぇ」
多分、これまでにないほどに大きな白獣だから、彼らはそれだけで面白いのかもしれない。いつも好奇心たっぷりな大きな瞳を、きらきらとさせてカルロの周りで大騒ぎしてりするのだ。
――白獣特有の、美しい紫色の目。
リズは、視線の高さを合わせて、じーっと自分を見ているカルロを見つめ返していた。その色合いに近い、彼女の赤紫色(グレープガーネット)の瞳に獣が映っている。
「あの子たちも、いずれはカルロみたいにおっきくなるのかしら。いくつかの成長段階ごとに、身体のサイズが変わっていくって本当?」
【多分】
「首を捻られても……あっ」
大きな前足で文字を消したカルロが、仏頂面をずいっと寄せてリズが抱えているかごをくわえ持った。
「私、自分で持てるわよ?」
リズは、ひとまず『返して』と仕草でも伝えてみた。しかしカルロは渡さないという反応をすると、続いて撫でろと頭を寄越してくる。
最近、こうやって唐突なタイミングで撫でられたがるのも増えた。
少し前まで、ブラッシングだって嫌がっていたから大きな変化だ。……まぁ、リズとしては、もふもふを堪能できるのでいいのだけれど。