平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
「この手か?」

そっと上から取られて、持ち上げられ確認される。

「そ、そうです。すみません、急ぎなのに、うっかりしてしまって」

やけに緊張が強まって、答える声もしどろもどろだ。

ジェドの体が熱いせいだろうか。リズは、彼に取られた自分の手までもじんわりと体温が上がるのを感じた。

「それくらいなら、カルロを頼る必要はない。俺が綺麗にしてやる」

「え……?」

次の瞬間、リズはジェドが自分の手を舐めるのを見て、大きな赤紫色(グレープガーネット)の目をこぼれんばかりに見開いた。

掌の水気に唇を滑らせ、指先を口で拭う。ジェドは持ち上げた手の角度を変えながら、リズの手に伝っていく水を丁寧に舌で舐め取る。

手首に唇を押し当て、腕へと移動しながらちゅっと口づけられた。

「あっ、団長様、そこにはこぼれていないですっ」

「でも、ほら、伝ってしまっているよ」

「そ、それは今、団長様が私の手を上に上げているからです」

そんなの、考えればすぐ分かることだろう。でもジェドは、リズが止めても更に水滴を伸ばすように持ち、じょじょに肘まで舌を這わせていく。

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