平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
視線に気づいたコーマックたちと目が合うと、エドモンドが深く頷いて、続いてこんな表情をした。

(お任せください)

(やめろ余計にこじらせる)

エドモンドから目で合図を送られた獣騎士たちが、途端にジェドとリズが見えない位置からジェスチェーで伝える。

(頼みますから、もう何もしないでください)

ついコーマックも、口パクで必死に答えた。

だがエドモンドは、相変わらず以心伝心などできる男でもなく、思い立ったら即行動に移す男だった。

「ジェド団長。これはある意味、()い機会かと」

「あ?」

唐突に話を振られたジェドが、柄の悪い声を出してジロリと見つめ返す。状況をチャンスに変えて気を利かせた自信があるエドモンドは、悠々と続ける。

「今回の、殿下が預かっている幼獣の件です」

「またそれか。さすがにぶちのめすぞ、エドモンド。ここで自分の要求を押し通そうとしてくるとは、俺の手にかかって死にたいらしいな」

「誤解です、ジェド団長。たとえば『未来の婚約者を連れて行く』と言えば、まさか調査だと疑われません。それでいて、相棒獣を得てから一気に煩くなりだしている貴族たちも、静かにできます」

腰の剣の柄に手をかけかけたジェドが、エドモンドが強調した言葉を聞いて、ぴたりと落ち着きを取り戻す。
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