平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
でもジェドの中では、既に決まったことらしい。

「手紙の八割方が会の出席や参加も促していて、いちいち返事を書かなければならないものだ。これが実に鬱陶しい」

「鬱陶しいって……そもそも私、偽物の恋人として王都の人たちに顔が知られて、大丈夫なんでしょうか?」

「心配するな、俺がなんとかする。幼獣をそろそろ連れて帰るか否か、陛下からもたびたび相談が届いていたからな。いい機会だから、その見極めもしようと思う」

エドモンドは、そのやりとりを冷静に見守っている。はらはらしているコーマックたちが、ジェドから続いてリズへと視線を移す。

「ほ、本当に、その作戦で登城するつもりなんですか?」

「今の俺にとっては、メリットしかない」

しっかりとリズの目を見つめて、ジェドが強く告げる。

ここ数日の不機嫌っぷりは、大量に届いている手紙が原因だったらしい。自分の存在は、タイミング的にも都合が良かったみたいだ。

さっさと手紙問題を収束させたいのは、仕分けを手伝っている身としても分かる。でも王都で〝彼の未来の婚約者〟を演じるだなんて……。

「そういえば、団長様は、ご両親様とピリピリされているんですよね? だから王都には行かないんじゃなかったんですか?」

諦めてくれることを期待して尋ねる。するとジェドが、リズの迷いなんて関係ないと言わんばかりに座り直した。

「恋人を連れてくると言えば、あっさり宿泊の協力も受けてくれるだろう。王都の別邸も広いからな、カルロも問題なく過ごせる」

そう告げると、ジェドは右腕のコーマックを隣に呼んだ。
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