平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
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午前中の日差しが、明るく照らし出しているウェルキンス王国の王都。
獣騎士団を出発してから数時間、リズとジェドを騎獣させたカルロが、王宮の上空へ到着した。
超上空、そのうえスピード飛行だ。しかし、ようやく降下して視界が開けたリズは、飛び込んできた大都会の街並みに「わぁ」と弾む声を上げてしまった。
「すごいっ、これが王都……!」
一面に広がっていたのは、大小様々な建物群だった。精悍な貴族屋敷、専門機関なのか聖職関連なのかも分からない大きな建築物。
そして、そこに圧倒的な存在感を放って建っていたのは、広い国土と貿易力でも知られているウェルキンス王国の王城だった。先端まで繊細に作り込まれたいくつもの尖塔。白の大理石と、装飾が施された王宮は美しい。
思わず身を乗り出したリズを、ジェドがやんわりと抱え直して、カルロをそちらへと向かわせる。
「何度も増築が繰り返されて、今の形になっている。多くの歴史が残された、現存している我が国の城の中で、もっとも古いものだ」
ジェトの説明に、王宮自体が王都の遺産みたいなものなのかとリズは思う。
先に知らせが出されていたこともあって、到着が待たれていたらしい。カルロが一度、合図を送るように王宮上空を旋回すると、下でにわかに騒がしさが増した。
「獣騎士団長、グレイソン伯爵の到着!」