平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
容姿は幼くて、とっつきにくさも感じないが、凝った王族衣装が似合いほど気品に溢れてもいた。

やっぱり王子様なのね……生まれながらにして生きる世界の違いを見せつけられたようで、リズはぼうっとしてしまう。まさか庶民の身で対面が叶うとはと思っていなかった。

ジェドを一方的に親友認定している王子様。そう教えられた情報を思い出していた時、ふと、彼が胸に抱えている白いもふもふが動くのが見えた。

「あっ、幼獣……」

ぱっと口を押さえ、思わず呟いた声を隠した。

ふわふわの高級クッションを抱き締めているなと思っていたのだが、それは一回り大きな幼獣だったのだ。頭を上げ、丸みのあるもふもふの耳がピンッと立って、目立つ紫色(バイオレット)の目がきゅるんっとリズを捉える。

顔立ちの感じが、獣騎士団にいる幼獣たちより少しお兄ちゃんっぽい。とてもリラックスした様子で、ニコラスの両手に抱えられている。

「本当に懐いているのね」

こそっと囁くと、ジェドがあちらを見つめたまま不敵に笑った。

「お前に対しても、警戒心は全くないな」

確かに、あの子とは初めて会ったのに不思議だ。幼獣の大きな目に、次第にわくわくとした輝きが宿っているのは、カルロがいるせいだろうか?

リズがちらりと目を向けるそばで、カルロが鼻息をついて〝お座り〟する。

と、お人形みたいに綺麗な少年王子ニコラスが、目の前まできたジェドに、にこーっと笑いかけた。

「うむっ、会いたかったぞ俺の大親友よ!」
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